落語の名人が愛用する有名な出囃子!今すぐ楽しみたい最強名曲

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落語

落語は噺家が高座に上がるときに、その登場曲として流れる「出囃子」で始まります。この出囃子は長唄や端唄、民謡から洋楽まで幅広いジャンルが使われ、各噺家が愛唱する有名曲が存在します。本記事では出囃子とは何か、歴史や有名な出囃子の曲目・噺家などを紹介し、初心者にも楽しみ方が分かるよう解説します。

落語で有名な出囃子とは?

落語の出囃子とは、噺家が高座に登場する際に演奏されるテーマ曲のことです。三味線と太鼓を中心に、笛や鉦(かね)が加わることもあります。出囃子は寄席の開演前の拍手と連動し、噺家が座布団に着くまで続きます。これにより聴衆は「出囃子が始まったら次は○○師匠だ」と直感的に分かるようになり、曲と名前が結び付いて記憶されます。
このように出囃子は噺家の“テーマソング”であり、聴く者の期待感を高める重要な役割を果たしています。

例えば、名人・八代目桂文楽の出囃子「野崎(のざき)」や、三代目三遊亭金馬の「本調子かっこ」、六代目三遊亭円生(さん遊亭円楽と同一)の「元禄花見踊」、三代目春風亭柳好の「梅は咲いたか」、桂米丸の「金比羅舟々」などは特に有名です。以下は代表的な噺家と出囃子を挙げた例です。

  • 八代目桂文楽:『野崎』
  • 三代目三遊亭金馬:『一丁入り』
  • 古今亭志ん生:『鞍馬(くらま)』
  • 三代目春風亭柳好:『梅は咲いたか』
  • 桂歌丸:『大漁節』
  • 柳家小三治:『二上りかっこ』

出囃子の意味と役割

出囃子はもともと歌舞伎や浄瑠璃の演目で使われていた楽曲を元にしていますが、寄席では噺家ごとに個別の曲目を持ちます。演奏は基本的に寄席で長年経験を積んだ「お囃子さん」が担当し、三味線と太鼓で構成されます。噺家が登場して座布団に着座するまでに出囃子が終わるのが理想的な流れです。
お囃子がテンポよく曲を終えると拍手が起こり、いよいよ噺家の口上や一席が始まります。この慣例的な導入のおかげで、出囃子は落語の雰囲気を盛り上げる大切な演出効果を担っています。

代表的な出囃子の例

前述のように、出囃子には古典的な邦楽調のものから軽快な端唄や長唄節調までさまざまな曲風があります。有名なのは長唄風の「一丁入り」やお囃子っぽい「野崎の送り」、お祭りを思わせる「金比羅舟々」などです。
グループによっては民謡をアレンジした出囃子もあり、例えば「大漁節」をモチーフにした曲や、沖縄民謡「安里屋ユンタ」をベースとしたものも使われます。聴きなれた曲が流れると客席からは拍手が沸き起こり、出囃子は寄席独自のエンターテインメント性を高めています。

出囃子を演奏する楽器と演奏者

寄席の出囃子は通常、三味線・太鼓(小太鼓や鉦)・笛などで演奏されます。これらを演奏するのが、「東京ではお師匠さん、大阪ではお師匠さん」と呼ばれる熟練のお囃子方です。お囃子方は長年寄席の舞台を支えるベテランで、その化粧まわしのような登場楽曲を通じて、噺家の芸を引き立てます。
演奏者は曲のテンポや間(ま)を絶妙にコントロールし、噺家が座布団に座るタイミングでスパッと曲を切り上げるのが腕の見せ所。実は噺家も聴衆も、その演奏技術のおかげで気持ちよく登壇できるのです。

出囃子の歴史とその変遷

寄席で各噺家の出囃子が定着したのは大正・昭和初期の寄席文化が盛り上がったころですが、出囃子に使われる曲目の由来は古典芸能にあります。江戸時代の寄席では長唄や端唄が多く用いられ、それらを三味線で弾く形式が基本でした。例えば長唄の有名曲を出囃子に使う例も多く見られました。

しかし戦後から現代にかけて、出囃子の選曲に変化が生まれています。若い世代の噺家からは歌謡曲や洋楽、アニメソングなど意外性のある曲を採用する動きが出てきました。昭和末期には「星条旗」「Take Me Out to the Ball Game(野球に連れてって)」のような海外曲が目立ち、平成以降はポップスやジャズ、映画音楽などジャンルの壁を越えた多様な出囃子が誕生しています。

こうした変化の背景には「聴衆を驚かせたい」「自分らしさを出したい」という噺家の意識があります。従来の端唄や民謡を中心とした保守的な選曲から一転、近年ではアメリカン・ポップスや昭和歌謡、アニメBGMまで何でもありの時代になっているのです。

伝統的な演目に用いられた出囃子

従来、落語の出囃子は江戸時代から伝わる長唄や端唄を元に選曲されることが多かったため、音楽的には純邦楽寄りでした。例えば長唄の端唄節や民謡調の旋律がよく使われ、噺の雰囲気を落ち着いた趣きあるものにしていました。この伝統的な出囃子は落語の格式を高め、古い聞き手の思い出に残りやすい特徴があります。

ポップス・洋楽などの近年採用

ところが近年は、若手を中心に音楽の多様化が進行しています。洋楽の名曲や昭和のポップスが出囃子に取り入れられ、中にはアニメ主題歌や映画音楽すらも使われます。例えば三遊亭小遊三師匠がジャズテイストの曲を出囃子にしたり、春風亭昇太師匠が洋楽ロックを使ったりして話題になりました。こうした選曲はお囃子方から「楽譜がないので譜面無しで弾く」という苦労話が聞かれるほどです。

音楽ジャンルの多様化

現代では出囃子のジャンルは文字通り幅広く、ジャズ、歌謡曲、果てはクラシックのメロディまで聴かれます。多様化の一例として、春風亭柳好の『梅は咲いたか』は江戸小唄、三遊亭金馬の『一丁入り』は伝統的な音曲、そして白鳥師匠の『白鳥の湖』はクラシックバレエ曲など、それぞれ全く違うジャンルです。
このように昔は長唄民謡が定番でしたが、いまでは「どんな曲でも面白ければOK」という風潮。一度耳に残る出囃子は噺家のアイデンティティにもなり、落語文化の新しい魅力を作り出しています。

時期 代表的な出囃子の傾向
昭和初期まで 長唄・端唄などの純邦楽中心
例:一丁入り、野崎など
昭和後期~1990年代 日本歌謡曲や民謡、マーチングアレンジ
例:大漁節、佐渡おけさ
21世紀(現代) 洋楽(ポップス、ジャズ)、アニメ曲など多彩
例:Take Me Out to the Ball Game、タラ・ララなど

有名落語家と出囃子の組み合わせ

各噺家は出囃子を自分で選曲することも多く、愛着のある曲が定着します。ここでは特に知られた師匠の例を挙げてみましょう。

  • 八代目桂文楽:『野崎』 – 定番の長唄調で、情緒ある曲調が噺家の風格と重なる。
  • 桂歌丸:『大漁節』 – 祭囃子風のリズムで会場を盛り上げる。
  • 柳家小三治:『二上りかっこ』 – お囃子節回しのいなせな曲で登場。
  • 立川談志:『木賊刈り(とくさがり)』 – 素朴な民謡調で個性を表現。
  • 三遊亭円楽(九代目):『元禄花見踊』 – 上方落語の風情ある調べ。

また、新作派の噺家では多彩な選曲が目立ちます。例えば柳家喬太郎師匠は独特の演劇的曲を使い、春風亭昇太師匠はアメリカンポップスを大胆にアレンジした出囃子で話題になりました。さらに林家こん平が佐渡おけさを、柳家三三(さんざ)が津軽じょんから節系の曲を使うなど、各師匠の個性が曲選びに反映されています。

代表的な落語家とその出囃子

上記の通り、落語家の出囃子はその人のイメージや芸風と一体化しています。名人たちが長年使い続ける曲には、それぞれエピソードや由来があり、ファンの間で語り草になっています。代表的な例では桂米助師匠の『Take Me Out to the Ball Game』、林家こん平師匠の『佐渡おけさ』、春風亭小朝師匠の『さわぎ』などがあります。

女性・若手落語家の出囃子

近年は女性噺家も増え、彼女らも独自の出囃子を持っています。例えば、桂米紫師匠(女性)は『蘇州夜曲』のような抒情的な曲を使います。また若手では柳家うん才さんの『チャルメラ』、三遊亭わん丈さんのポップス曲など、新しい世代らしい曲も登場しています。
これからも時代とともに噺家の個性を際立たせる曲が生まれ、出囃子シーンはますます多彩になっていくでしょう。

出囃子の楽しみ方とおすすめ

出囃子を聞いて「誰の曲か」を当てるのも寄席の楽しみ方の一つです。慣れれば曲を聞くだけで噺家が分かり、寄席通の楽しみとなります。また自宅で楽しむ場合、CDや動画が充実しています。

寄席関連の音源CDやDVDには出囃子だけを集めたものもあり、お囃子方の演奏を練習用に収めたCDも販売されています。例えば「落語家 出囃子集」といったタイトルで、複数の噺家の出囃子を1枚にまとめたアルバムが出ています。音質の良い録音で、移動中や自宅でも気軽に名曲を聴けるのでおすすめです。

CD・DVDで聴ける出囃子

落語の出囃子を収録したCDは、一部の落語会場やDVD付き書籍で手に入ります。特に単独CDには、有名噺家の代表的な出囃子が挙って収録されており、視聴してお気に入りを見つけたい方に便利です。中には噺家本人が監修したり、落語協会公式グッズとしてリリースされているケースもあります。

YouTubeや配信サービスでの視聴

最近ではYouTubeや音楽配信サービスで出囃子が公開されることが増えました。配信チャンネルでは演目ではなく出囃子だけを演奏・録音した動画が見られ、視聴者は気軽に聴くことができます。公式ではないものの、噺家が自らプレイリストを作る場合もあります。スマホアプリで検索すると「出囃子集」や演者別プレイリストが見つかることも多く、自分のスマホでお気に入りを管理できます。

寄席で楽しむコツとポイント

実際の寄席では出囃子をフルでじっくり聴く機会は案外少ないものですが、いくつか楽しむコツがあります。まず、開演直前の拍手とともに出囃子が始まり、まもなく演者が出てきます。その瞬間に「この曲だと○○師匠だ」と予想してみると、噺家に興味が湧きます。また、曲が終わる頃には必ず座布団に座るので、噺家の動作のタイミング=曲終わりと覚えると臨場感が増します。
また、寄席では終演後にCDやグッズを売っていることがあります。その場で出囃子入りのCDを見かけたら、ぜひ手に取って実際に音を聴いてみると理解が深まります。

まとめ

落語の「出囃子」は噺家の個性を象徴するテーマ曲であり、伝統と革新が融合した魅力があります。古典的な長唄から現代の洋楽、さらにはアニメソングまで、多彩なジャンルが演者を彩っています。聴き慣れると出囃子で登場する噺家が分かるようになり、寄席がますます楽しくなるでしょう。
有名な出囃子の曲はCDや配信で手軽に聴くことができるので、興味を持ったらぜひ視聴してみてください。寄席で聴くのとはまた違った迫力があり、新たな落語の魅力発見につながります。

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